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2008年2月18日(月)−2008年3月15日(土)

ギャラリーメスタージャ第Ⅱ回企画展
「シネフィルと写真」cinéphiles et photographies

プレスリリース

写真
© koichi yamada
写真
© hideo tobita
写真
© kanendo watanabe

展示内容(順不同)
渡辺兼人「L'ATALANTE」を中心に十数点(モノクロ写真)
飛田英夫「日々のサンプル-ミニチュアによる-」を中心に十数点(モノクロ及びカラー写真)
山田宏一「アンナ・カリーナ」のスナップ2点(モノクロ写真)



作者略歴(順不同)

渡辺兼人  (写真作家)

1947 東京に生まれる
1969 東京綜合写真専門学校卒
  この間個展・グループ展多数
1982 第7回木村伊兵衛賞受賞
  この間個展・グループ展多数
2007 「摂津國 月の船」ギャラリーメスタージャ

飛田英夫  (写真作家)

1948 神奈川県に生まれる
  小田原城北工業高校卒
2007 個展「日々のサンプル-ミニチュアによる-」ギャラリー山口

山田宏一  (映画評論家・翻訳家)

1938 ジャカルタに生まれる
1939 東京外国語大学フランス語科卒
1964-67 パリに在住、その間「カイエ・デュ・シネマ」誌同人

著書に「友よ映画よ〈わがヌーベル・ヴァーグ誌〉」、「トリュフォー ある映画的人生」、「日本侠客伝 マキノ雅弘の世界」ほか多数、訳書に「定本映画術 ヒッチコック/トリュフォー」(蓮實重彦と共訳)ほか多数



プレスリリース

ギャラリーメスタージャは、第Ⅱ回企画展として「シネフィルと写真」"cinéphiles et photographies"を開催いたします。

シネフィル"cinéphile"とはフランス語で「映画愛好家及び映画狂」を意味します。今回の展示では、映画をこよなく愛する写真作家 渡辺兼人、飛田英夫両氏の写真作品と、カイエ・デュ・シネマ誌の同人として、まさしく映画とともに人生を歩んでこられた映画評論家・翻訳家の山田宏一氏が撮影したヌーベル・ヴァーグの女神アンナ・カリーナのスナップ写真を展示いたします。

渡辺兼人氏は1992年、フランス映画の「アタラント号」(原題"L'ATALANTE")に触発され、フランスにて撮影した作品を"L'ATALANTE"として発表しています。今回はその作品を中心に他フランスでの作品を含めて展示いたします。

「アタラント号」は、後にヌーベル・ヴァーグの映画作家たちに熱狂的に支持されることになる29歳で夭折したフランスの映画監督ジャン・ヴィゴによって1934年に作られました。

筋書きは若い船長と結婚したばかりのその妻とが、少々イカレた老水夫たちとともにアタラント号に乗って河を北上し、都会に憧れていた妻がパリで船を下り一時離れ離れになってしまうが、後に老水夫が妻を連れ戻し、船上の生活に戻るという通俗的なものですが、老水夫を演じるミシェル・シモンの怪演ぶりや、あちこちに飛び交う猫たち、瓶詰めにされた手、ドキュメンタリータッチの撮影法など、今なお映画的魅力の褪せない作品です。

飛田英夫氏は2007年、自身の映画における記憶をミニチュアとして再現し、それをさらに4×5のポラロイド写真にまとめた作品を「日々のサンプル-ミニチュアによる-」として発表しました。その作品群と最近の作品を展示いたします。

映画を主題にした作品は、撮影の対象となるミニチュアの驚くべき繊細さにもまして、映画→ミニチュア→写真という幾重もの再現を体験することのシネフィルの甘美な狂気の一端を味わうことができるでしょう。

映画評論家・翻訳家で知られる山田宏一氏は1965年から66年にかけて「取材と称して」パリにあるアンナ・カリーナの自宅アパルトマンを2度訪れ、今回の写真を撮影しました。

その際の様子は氏の著書「友よ映画よ〈わがヌーベル・ヴァーグ誌〉」に詳しく描かれています。

アンナ・カリーナは説明するまでもなく、ヌーベル・ヴァーグという1950年代後半から一世を風靡したフランス映画の新しい動きの中で、欠かすことのできない女優です。ヌーベル・ヴァーグの代名詞の一人でもある映画作家のジャン=リュック・ゴダールの初期の作品には主演女優として必ずその姿をみることができます。

純粋さと、冷たさと、奔放さと、聡明さを持つアンナ・カリーナの素顔を、彼女に「恋した」山田宏一氏がどのようにフィルムに収めたのか、氏の映画=アンナ・カリーナへの愛が込められた興味深いスナップ写真です。