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2009年11月30日(月)−12月19日(土)

ギャラリーメスタージャ企画展
飛田英夫写真展 「In a Lonely Place」

13:00−19:00 日曜休廊

プレスリリース  略歴

「IN A LONELY PLACE」
(c)hideo tobita
「IN A LONELY PLACE」
(c)hideo tobita
「IN A LONELY PLACE」
       (c)hideo tobita

展示内容:
大型カメラ(4×5)にて撮影された白黒写真、約25点を展示予定



プレスリリース

若いころから映画の魅力にのめり込んだ飛田は、今までに見た映画のワンシーンをミニチュアとして再現し、それを4×5の大型カメラでインスタントフィルムを使った作品を作り続けてきました。膨大に作り続けられた作品は、07年に初めての個展で発表され、09 年、当ギャラリーにおけるグループ展「シネフィルと写真」でさらに展開されました。ミニチュアによって詳細に再現されたシーンは「つくりもの」のぎこちなさと、「まがいもの」の奇妙なほんものらしさ、それに飛田の執拗な映画への「愛情」が混在した異様な断片となって私たちの脳裏に焼き付きます。

今回の作品は具体的な映画のシーンではありませんが、作家が映画からあるいは写真からあるいは実際に外に出て収集した素材によって作り上げたミニチュアの風景を、モノクロのインスタント写真によって構成しております。ぜひご高覧いただきますよう、お待ち申しあげております。




作者略歴 飛田英夫

1948 神奈川県に生まれる
小田原城北工業高校卒

個 展 

2007 「日々のサンプル―ミニチュアによる―」 ギャラリー山口
2009 「IN A LONELY PLACE」 ギャラリーメスタージャ

グループ展

2008 「シネフィルと写真」 ギャラリーメスタージャ



孤独な場所へ

外久保恵子


記憶を再構成すること。それは実際に紙で、粘土で、拾われてきた木々で、葉で、また布や糸などでミニチュアとして再現される。照明が当てられ、大型カメラで撮影されたそれらのホンモノに似た「まがいもの」の一場面は、たとえそれがそういうものであると了解したとしても、われわれの視覚に緩やかではあるが決定的な亀裂を生じさせる。またそれは極めて私的な行為のように見えるが、目の前に現れたものにわれわれは朦朧とした胸さわぎをおぼえる。

長年作り続けてきた映画シリーズの後、被写体のミニチュアは具体的な映画からの引用、またはそれを契機にしたものではなく、山道や流れる川、木々や草花、廃屋のある荒野といった風景として構成される。そこに人はほとんどいないが、その気配がある。そしてその気配が漂うそれぞれの場面はぬぐってもぬぐいきれない飄々とした寂寥感に溢れている。飛田の写真を見るとき、「そこに何を見たらいいのか」という根本的な問いに対する答えの不毛さのため、それ自体の、あるいはそれを見る己自身の存在のどうしようもない平板性が、われわれを孤独な場所へと誘う。