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2012年9月17日(月)−2012年9月22日(土)

森谷 雅人 写真展 『川崎ハード』 

13:00-19:00 日曜休廊

作者コメント    作家略歴

© masto moriya


出品作品: モノクロ写真 11×14インチ 400枚展示予定



作者コメント

人は視界のなかで見たくないもの、見る必要のないものを一瞬で判断しフィルターをかけた視界を現実として見ることができる。それは余分な情報にかかわって行動に支障をきたさないように、人に備わった便利な機能である。
逍遥者としての写真家はその機能を否定する。街を歩きながら求めるのは目の端に入る異変である。異変に気付くとそれが何であるかを判断することもなく写真を撮る。異変はその対象全体の時もあれば、その対象から一歩進んでも、一歩下がっても消えてしまうようなものもある。

理想の住宅を安全、安定、安息とするならば、住宅街における異変とは基本的にネガティブな要素である。住人たちはその異変を上手に隠す。
街並みは古くとも整然としている。家の表には花を飾り、道にはゴミも落ちていない。子供の通う学校のまわりや路地の多いところでは住民自身によるパトロールも盛んである。防犯カメラの設置も今や常識だ。
しかし逍遥者は街の導線を無視するような歩き方で、隠しきれない異変のかけらを次々に見つけていく。そして街にかかったフィルターを否定し、隠されていた本来の街の姿を浮かび上がらせる。

写真は一秒に満たないわずかの時間でフレーム内の全てのものを写し取る。その一枚の写真は撮られた時の何倍もの時間をかけ、細部まで見ることを可能にする。実際の対象とその対象自身の写真が違って見えることがあるとすれば、それは「時間の違い」「画角の違い」「複眼と単眼の違い」よりも、何より物がたくさん写っていることを発見する驚きに由来するものではないか。
写真は人が見たくないもの、見る必要が無いものを収奪し暴露する。


 
作家略歴   1960年生れ 神奈川県出身
  2011年 個展「約束の地」
  KAWASAKI DEEP SOUTH 2010-2011 新宿ニコンサロン