開催のごあいさつ
ギャラリーメスタージャは、来る2012年3月26日(月)から4月14日(土)まで、企画展として渡辺兼人写真展『水脈の貌』を開催いたします。是非御高覧いただきますよう、お待ち申しあげております。
己の身体と他者の身体に写真機は翻弄される。
動く被写体を追い、指先がシャッターを押下するまさにその時、写真家の眼は何を契機にフレームを構成しようとするのか・・・。
一連の運動の中で撮影者は自ら動きつつ他者の動きを追う。
そしてその動きから己の指先の動きを誘発する。あるいはされる。
久しく動くものを被写体として選択していなかった渡辺が、予測不能な身体を撮る。
それは撮影者の意図を徹底的に無化する他者の動きだ。
他者の動きに自らを賭けること。その時自らの存在はその動きにのみに依る。
静止することで成り立つ写真が、深化しようのない「動き」という「いまここ」によって避けがたくナニモノデモナイモノに深化するという逆説。
ギャラリーメスタージャ 外久保恵子