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2013年6月3日(月)−2013年6月22日(土)

徐 英一写真展『THAT DAY, THAT TIME 2006-2013』

13:00-19:00 祝日開廊・日曜休廊

作家略歴    開催のごあいさつ

© SUH YOUNGIL


展示作品:カラー写真 20×24インチ、11×14インチ 約20点展示予定



 

作家略歴

  1997 東京綜合写真専門学校 卒業
    1999 東京綜合写真専門学校 研究科 卒業


       

個人展   

2009   Pilgrims around Tokyo station
ビンズ・ソウルギャラリー、Seoul
      That Day, That Time 鄭Gallery、 群山
  2008   在日韓国人歴史資料館 特別企画展示—在日同胞1世 在日韓国人歴史資料館展示室
  2007   THAT DAY, THAT TIME GALLERY mestalla、東京
  2005   1st generation of Korean resided in japan 金英燮書廊、Seoul
      1st generation of Korean resided in japan Gwangju & Gana art gallery、光州
  2003   Pilgrims around Tokyo station 銀座九美洞gallery、東京
  2001   ある日、上野 Egg Gallery、東京
  2000   Snap Street 1997-1999 仁寺Gallery、Seoul
  1999 或る晴れた銀座 ギャラリーアートグラフ、東京
  1998 舗道上の遠近法 Egg Gallery、東京

団体展   

1997   約束のない一日 平永町橋ギャラリー、東京
  1996   微熱夜景 平永町橋ギャラリー、東京
  1996   他者の圏域 gallery Le DECO、東京

出   版

2005   1st generation of Korean resided in japan(韓国)



徐 英一は日本で生活するようになって30年あまり、今は1年の半分を日本で、もう半分は祖国韓国で過ごしている。
6,7年前から、ソウル市内または地方都市に残る日本式建築物を撮影し続けている。
それはかつて日本人が建て、居住していた家屋である。
徐は現地の土を踏み、近隣の住人から当時の話を聞き、写真を撮り続けた。
現在では、完全に朽ち果ててしまったものもある一方、一部は商店や住居に再利用されている。
当時を知る住民たちは、歴史的経緯からそれらの建築物を残すことを疎んだが、次の、またその次の世代の人々の手によって、現地の歴史博物館に生まれ変わった建物もある。

今回の作品は、2007年のギャラリーメスタージャにおける『THAT DAY, THAT TIME』の姿勢と基本的に変化はない。
前回同様、徐の視線は必要以上に近寄ることも遠ざかることもなく、静かに対象と向き合っている。

ただ前回と決定的に違うのは、画面に意識的に人をいれていることである。
もともと徐は、ストリートスナップショットから作家活動を開始した。
そうすることよって、前回の被写体(建物が中心でほとんど人影のない写真)の、それでも微かにうかがうことのできた雄弁さが、今回は人の動きとともに、通りを彷徨い拡散しはじめたと言っていいだろう。
そして、それを徐はあえて肯定する。

徐は母国にあるそれら建築物を見るとき、寂しさにも似た切ない感情が湧きあがると言う。それがいつまでも在ってほしい、と思う。

あたかも相反するようなその感情を、われわれが『わかる』としたら、それはどのようなことによってなのだろうか。

写真を前に、日本式建築物を指し示され、韓国式のものと日本式のものの違いを見、あるいはそのために発せられた声を聴く。そのうえでわれわれ自ら『それはどのようなことなのか』ということをひとつずつ気づいていくしかないのであり、ただその行為を繰り返してこそ、『わかる』という充足した状態に僅かでも近づくことが、あり得るかもしれない。

徐の写真は、そこに何を見るかという『自由』、と同時にそこに何を見るべきかという『不自由』の境界を緩やかに、しかし確固たる意志で可視化する。

ギャラリーメスタージャ 外久保恵子