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2015年1月26日(月)−2015年2月7日(土)

笠間悠貴写真展『Air』

13:00-19:00 祝日開廊・日曜休廊 最終日-17:00

作家略歴    ステイトメント

© Yuki KASAMA


モノクロ写真 約13枚展示予定



 

 学 歴

  2005年 関西大学卒業
  2009年 東京綜合写真専門学校研究科卒業
  2015年 明治大学大学院理工学研究科博士前期課程在籍中

 

 個 展

  2011年 「再生」コバヤシ画廊
  2013年 「顫え」コバヤシ画廊
  2014年 「顫え2」MUSÉE F
  2015年 「Air」GALLERY mestalla

 

主なグループ展

  2008年 「風景をかじったねずみ」ギャラリー山口
  2009年 「Art Jam」ギャラリー山口
  2009年 「画廊からの発言'09」ギャラリーなつか
  2015年 「都市のしおり」明治大学生田キャンパスGallery ZERO


ステイトメント
「Air」

冬になると、日本列島周辺の気圧配置は西高東低になる。その影響で、湿気を含んだ寒気がシベリアから吹き付けてくる。本州中央の高山を上るときに大雪を降らせた後、乾いた空気となって太平洋側に山颪を吹かせる。このようなフェーン現象と呼ばれる気象状況を関東平野では、空っ風と呼んでいる。大気の流れは確実に私たちの生活に影響を及ぼしながら、刻々と変化をしている。

東京から空っ風を遡っていけば、赤城山、そして群馬県と栃木県にまたがる足尾山地に行き着く。北関東では、非常に強い木枯らしが林や田畑、家々に吹き下ろす光景をしばしば目にすることができる。木々はしなりながら、もがり笛を鳴らす。立っていられないほどの強い風が、茶色い風景を駆け抜ける。さらに北に歩みを進めて山を超えると、瞬く間に辺り一面が雪で覆い尽くされた白銀の世界になる。風の吹く日はパウダースノーが舞い上がり、ほんの3メートル先でも見えない。冬型の気圧配置が、現地の気候に及ぼす影響を目の当たりにすることができる。

この写真展における風へのアプローチは、三つの方法を用いている。一つは、山の北側すなわち雪原を撮影したもの。谷から吹き上げてくるパウダースノーを含んだ大気に向かって、高速シャッターを切る。すると極限までミニマルな画面構成の中に、雪の跡がうっすらと浮かび上がり、空気の流れを見ることができる。二つ目は、山の南側で吹きすさぶ風を荒野の中で捉えようとしたものだ。強風に揺れる部分が「ブレ」を起こし像として定着できずに、写真の上で不可視となる。それは、写された風景と、風によって定着し損ねた箇所の差異の中に風を見いだす写真である。三つ目は、地中から空気が吹き出てくる炭酸泉をクロースアップで写し取ったもの。水を波立たせて上昇する空気は、写真の中では光跡となって抽象的な像に還元される。これら三つの方法は、風を、あるいは空気を写真で表すために、銀塩写真の再現性の限界に立っておこなわれたものだ。