作家略歴 ステイトメント
© MITSUHIRO KOYAMA
ステイトメント
けもの道のような鬱蒼とした小径を抜け、草木を分け入ると突然見慣れぬ景色が現れます。 多摩川中流域の撮影をはじめて10年以上が経過しました。その間に護岸工事により整備された地域、また近年の大型台風により削られることにより、この流域は徐々に変遷していきました。 本シリーズは河川敷に広がる景色とこの地に自生している独特な植生を有した植物を撮影しています。 春に芽吹きはじめた新芽たちは、夏になると人の立ち入りを拒絶するかのような背丈になり、秋が深まる頃、一斉に葉を落としはじめます。冬の初めになると、その年に見舞われた台風の爪痕が露見します。 人がいたであろう窪地、立ち枯れたような脆弱な木立、台風により流され散乱した人工物。 これらから見受けられる気配や余韻はこの先に起こることを予感しているのでしょうか。
本展は晩秋から冬の間にかけて撮影した作品になります。