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2024年11月28日(木)-12月21日(土)

高橋和海 写真展『花は花』

Kazuumi Takahashi photo exhibition

Open:木曜日、金曜日 14:00-19:00、土曜日 13:00-19:00
Closed:日曜日、月曜日、火曜日、水曜日

開催のご挨拶   ステイトメント   作家略歴  

© Kazuumi Takahashi

開催のご挨拶

ギャラリーメスタージャは、2024年11月28日(木)から12月21日(土)まで、高橋和海写真展『花は花』を開催いたします。

高橋は写真学校卒業後、母校で教育に携わりながら写真家として活動しています。出身地が海に近いこともあり、海や砂浜、空、月、太陽といった自然の循環をとらえた作品を多く制作していますが、同時にバブル時代に畳部屋を舞台として、キッチュなモノとともにぎこちなくポーズをとった女性の肖像写真のシリーズなどでも知られており、複数の視点で様々な被写体と向き合っている写真家です。

キャラリーメスタージャで初個展となる今回の展示は、それらと並行して撮りためていた植物を中心とした作品で構成されます。

被写体として消費され尽くしているとも言える「花」にあえてレンズを向け、それを見る続けることで「写真の在り様」がどう変容してくのか、さらには写真が写真であることの揺らぎを問いかける展示となるでしょう。是非ご高覧ください。


ステイトメント

「花は花」

「写真」というものの在り様に興味がある。

「写真とは?」と問う時、1つは、そこに(カメラの前に)存在した「事実」の証左ということであろう。ディープフェイクや生成AIなどがひろまった現在あっても、顔認証、証明写真がIDの役割を果たし、観光写真がツーリストを呼び込み、戦場の映像が、悲惨さを実感させる力を持っているのは、まだまだ、一定程度そのことが信じられているからだろう。機械の眼でしかないということでもある。機械の眼であればこそ正確に事実を描写できるとの幻想でもある。いったいこの「幻想」はいつまで続くのか?

他方、視覚表現の美学に耽美的であること、写真の画像(図像)に精神性を重ねる「幻想の美学」も未だ信じられている。

「事実」といいつつ「幻想」。この二律背反がプリミティブな写真の在り様と仮定してみる。この古い古い「二律背反」に乗っかって写真を撮ってみたいと思っている。

花を観る、花にまつわる言説や美学を抜きにして観る。
花の模様、色を見る。
本当の「色」は?
花、葉には、虫などにしか見えない模様と色があるという。
では、今見えている「色」は本当の「色」なのか?
写真に写る「色」は?
写真は、本当の花を写しているのか?

「秘すれば花」という。

隠されているものが花だと、あるいは、隠されているものは、隠されているから花なので、実は、大したことがないものだと。

「花」「葉」まあ「植物」と言っておこう。それを何故撮るのか?
花は、雌蕊と雄蕊で交配して実となり種になる。
遺伝子の揺籠か、、、
光合成で酸素が作つくられるようになり動物が誕生したという。
月や潮や太陽の写真で地球や宇宙の「循環」をテーマにした事がある。
これら(の写真)も「循環」の象徴?
むしろ「輪廻」か、、、

何故「花」を撮るのか?
「秘された」花の精神性を写真の美学に重ねたいのか?
「花」に宇宙の循環を観たいのか?
「秘された花」が写真になれば、実は、大したものではないのか?
「写」されたものが「花」の「真」実なのか?

写真の時制は、不可逆的に過去形だ。しかし、過去に今の問題を重ねる事の可能性においては、圧倒的に可逆性的だ。

撮影時に感じた言われのないアウラや当時の思い込みが消えた何年も前の写真から、考えてみる。

しかし結局
種々ない混ぜに、「花は花」と言ってみる。

高橋和海



 
作家略歴       1963年 神奈川県横須賀市生まれ
  1989年 東京綜合写真専門学校 卒業    
  1990年(〜2000年) 筑波大学芸術学系に勤務のかたわら写真家として活動
  1991年 東京綜合写真専門学校研究科 卒業

       
個 展 1991年   『La mer farde/厚化粧の女』かねこあーとG1(京橋/東京)
  1992年   『Des paysage de la mer』パストレイズフォトギャラリー(横浜/神奈川)
  1995年   『ON THE SEA SHORE』パストレイズフォトギャラリー(横浜/神奈川)
  1996年   『Seascape and Landscape』日本郵船ビル1Fロビー(横浜/神奈川/第一回横浜国際写真フェスティバル参加)
  1998年   『往還とはいってみても また なんと 風景(けしき)の羅列に見える』かねこあーとギャラリー(京橋/東京)
  1999年   『Surface』アートスペース羅針盤(京橋/東京)
  2000年   『BOTANICA』かねこあーと2(京橋/東京)
  2000年   『Super Flat』かねこあーと2(京橋/東京)
  2002年   『移動する聖地』エクスレルムイベントスペース(原宿/東京)
  2003年   『女に自信があった頃』ナンバギャラリー(杉並/東京)
  2008年   『High Tide Wane Moon』Charles A. Hartman Fine Art(ポートランド/オレゴン)
  2009年   『ムーンスケイプ』ブリッツ・ギャラリー(目黒/東京)
  2009年   『ムーンスケイプ』カロスギャラリー(仙台/宮城)
  2018年   『eternal Flux-ゆく水の流れ』ブリッツ・ギャラリー(目黒/東京)
  2023年   『ICONIC SCAPEs』巷房 地下(銀座/東京)
  2024年   『ICONIC SCAPEs /月の証明写真』Art & Syrup(阪東橋/横浜)
主なグループ展 1989年   『VIEW』ギャラリー国領(原宿/東京)
  1989年   『目撃者』富士フォトサロン(銀座/東京)
  1989年   『破錠系の写真』銀座九美洞ギャラリー(銀座/東京)
  1990年   『記憶の風景』銀座永谷ギャラリー(銀座/東京)
  1991年   『連続体』ギャラリースペース21(新橋/東京)
  1991年   『線景』銀座永谷ギャラリー(銀座/東京)
  1993年   『写真1993』茨城県つくば美術館(つくば/茨城)
  1994年   『視線の振幅(まなざしのゆらぎ)』ギャラリー伝Floor2(世田谷/東京)
  1995年   『写真1995』茨城県つくば美術館(つくば/茨城)
  1997年   『Caotic View〜混沌の眺め〜』神奈川県民ホールギャラリー(横浜/神奈川)
  1997年   『Caotic View〜混沌の眺め〜』大森ベルポート美術館(大森/東京)
  2000年   『4人の場合』かねこあーと2(京橋/東京)
  2003年   『写メール展』ギャラリーES(青山/東京)
  2008年   『BCCKS写真集公募展受賞者展覧会』リトルモア地下(原宿/東京)
  2010年   『第2回ソウルフォト』(ソウル/韓国)
  2012年   『詫び・ボジティブな瞬間』ミュゼオ御殿場(御殿場/静岡)
  2013年   『街の記憶-写真と現代美術でたどるヨコスカ』横須賀美術館(横須賀/神奈川)
  2013年   『Night & Day New landscape photographer in Japan』ギャラリーアートアンリミテッド(六本木/東京)
  2013年   『ソウルフォト2013』(ソウル/韓国)
  2013年   『Tokyo Photo 2013』芝増上寺(芝/東京)
  2014年   『Night & Day 2014』ギャラリーアートアンリミテッド(六本木/東京)
  2015年   『BORDER-さかいめ-』アジア写真映像文化館(十日町/新潟)大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ2016公式参加
  2018年   『Le Pont Rouge, Exposition collective (ル・ポンルージュグループ展)』Gallery mestalla(神保町/東京)
出 版 2007年   写真集『MICHI KAKE /High tide Wane Moon』(Nazraeli Press刊)
  2016年   写真集『Eternal Flux』(SARL IKI刊)
  2018年   写真集『eternal Flux-ゆく水の流れ』(東京綜合写真専門学校出版局 刊)
  2021年   写真集『愛しのユーカ』(東京綜合写真専門学校出版局 刊)
パブリックコレクション   Joy of Giving Something, Inc.(NY/USA)
      Santa Barbara museum of art (CA/USA)